2022年8月20日に東京公演第2回事前講座を開催しました(品川区)

10月9日の東京公演に向けた事前講座「復曲能〈和田酒盛〉と中世の女性たちの生き方」を8月20日(土)、品川区の池田山舞台で開催しました。残暑の厳しい日となりましたが、定員の約40名のお客様にご来場いただきました。誠にありがとうございました。

ゲスト講師に日本中世史、女性史がご専門で、女子美術大学付属高等学校・中学校の教諭でいらっしゃる野村育世先生をお迎えしました。

野村先生のお話のタイトルは「中世に生きるヒロインたちとその背景」。中世において男性と女性がどのような存在であったのか、出家の世界、静御前と北条政子の友情、中世の遊女のあり方、そして〈和田酒盛〉のヒロインであり、曽我十郎の恋人、遊女でもある虎御前についても取り上げていただきました。当時の男女のあり方のイメージを変える大変興味深い視点を示していただきました。


静御前のお話に関連して能〈二人静〉の仕舞、江口の遊女に関連して能〈江口〉の仕舞もご覧いただきました。

後半は東京公演で上演する絵巻物のように華やかな復曲能〈和田酒盛〉の見どころのひとつ「思い差し」の場面をご覧いただきました。「思い差し」とは、自分が飲んだ盃で想う人に酒を差す余興のこと。当時の権力者・和田義盛が主催する大宴会の場面で、虎御前は和田義盛に差すという周囲の期待を裏切り、自分の想いを貫いて十郎に盃を差します。そして十郎もそれを受ける。この名場面をお楽しみいただきました。

講座ではご紹介できませんでしたが、虎御前の思い差しで使われた盃は「和田盃」と呼ばれました。昨年のツイートでご紹介しておりますのでぜひご覧ください。

9月は11日(日)に虎御前の謡跡めぐり(神奈川県大磯)、19日(祝/月)に横浜能楽堂第2舞台で第4回事前講座を開催いたします。どちらもご予約受付中です。詳細はページ下の「講座・ワークショップ」をご覧ください。


追加

野村先生のお話に関連して、9月から渋谷区立松濤美術館で以下の展覧会も始まります。

装いの力―異性装の日本史

本日休館CLOSED2022年9月3日(土)~2022年10月30日(日)September 3(Sat.), 2022-October 30(Sun.), 2022前期:9月3日(土)~10月2日(日) A期間:9月3日(土)~9月19日(月・祝)/B期間:9月21日(水)~10月2日(日)後期:10月4日(火)~10月30日(日)C期間:10月4日(火)~10月16日(日)/D期間:10月18日(火)~10月30日(日)※会期中、一部展示替えがありますシモーヌ深雪、D.K.ウラヂ《DIAMONDS ARE FOREVER ROYAL WIG》2018年 DIAMONDS ARE FOREVER《新蔵人物語絵巻》(部分)室町時代(16世紀)サントリー美術館《阿国歌舞伎草紙》(部分)桃山時代(17世紀初期)重要美術品大和文華館豊原国周《花競神田祭礼 げい者小槌のおきの 助高屋高助》1884年国立音楽大学附属図書館 竹内道敬文庫石井林響《童女の姿となりて》1906年 東京都現代美術館男性か女性か—人間を2つの性別によって区分する考え方は、私たちの中に深く根付いています。しかしながら、人々はこの性の境界を、身にまとう衣服によって越える試みをしばしば行って きました。社会的・文化的な性別を区分するための記号である衣服をもって、生物学的に与えられた性とは異なる性となるのです。もちろん、異性装を実践した人物の性自認や性的指向は非常に多様なものであり、それらが異性装とともに必ずしも変化するということはありません。日本には、ヤマトタケルをはじめとした異性装をしたエピソードの伝わる神話・歴史上の人物たちが存在するほか、異性装の人物が登場する物語や、能・歌舞伎といった異性装の風俗・ 嗜好を反映した芸能も古くから数多くあります。古代から近世を経て、西洋文化・思想の大きな影響下にあった近代日本社会では、一時期、異性装者を罰則の対象とする条例ができるなど変化がおとずれますが、それでも現代まで異性装が消えることはありませんでした。本展では、絵画、衣裳、写真、映像、漫画など様々な作品を通して各時代の異性装の様相を通覧し、性の越境を可能とする「装いの力」について考察します。特に現代では森村泰昌の作品やダムタイプのパフォーマンス記録映像の展示のほか、1989年2月に始まったドラァグ・クイーンによる

渋谷区立松濤美術館

一般社団法人 復曲能を観る会

―復曲能を観る会の公式サイトをご覧いただきありがとうございます―

0コメント

  • 1000 / 1000